オプトロンフィルターの紹介と各種フィルター実写比較②
オプトロンフィルターのレポートの続きを紹介します。まず各フィルターの特徴を紹介します。
3種類のフィルターを同じ露出60秒で比較しました。
ムーン&スカイグローフィルターは軽度光害カットで、ノーフィルターと比べて背景の色が改善され、星雲の色も良くなりますが、全体のコントラストは低いです。カットされている色領域は少ないので青い星雲の情報も多いです。
一番右のUHCフィルターは赤い星雲のコントラストや色がきれいで、バックの発色も良いので、赤い星雲の淡いところまで撮影する場合には一番良いと思いますが、欠点もありM20の上部の青い星雲などの写りが弱いです。UHCはLPS-V3よりやや露出が短くて済み、赤の星雲もとても良く写りますがLPS-V3と比べて青い星雲が弱くなります。
真ん中のCLSフィルターは、バックの色調がややマゼンタ系になりますが、UHCと比べて露出が短くて済み、赤い星雲も淡いところまで良く写ると共に、青い星雲も結構写るのでバランスが良く使いやすいと思います。オプトロンにはもう1種類LPS-P2と特性が良く似たL-Proというフィルターもありますが、CLSの方が赤い星雲の色が大分鮮やかに写ります。通常の赤い星雲ならUHCまで使わなくてもCLSで充分淡いところまで写ると思います。
次は出目金・彼岸花星雲の作例です。
4種類のフィルターを露出30秒で撮影しました。
この日は低空の透明度が良くなかったので、高度の低いこれらの星雲はカブリが多かったです。クリアフィルターでは光害カブリをして、ムーン&スカイグローでは色調が改善し、CLS、UHCにかけてカブリが減少しコントラストが上がっているのが分かります。低空の光害カットには大変効果があるようです。
次は北アメリカ・ペリカン星雲の作例です。
こちらはフィルターに合わせて露出を調整して撮影しました。こちらもフィルター効果が一目瞭然に出ています。
クリアフィルターはフィルターなしに相当する画像で、著名な天体写真家の中にはノーフィルターにこだわって撮影されて、フォトショップの凄技を駆使して素晴らしい画像に仕上げておられる方もいますが、発色に乏しくコントラストの低いこの画像を16枚以上コンポジットして画像処理をしたとしても、凡人の技術ではなかなか厳しいのではないでしょうか。
ムーン&スカイグローの画像であれば、まだコンポジットして赤のコントラストを上げればなんとかきれいになりそうな感じです。
CLSフィルターではややマゼンタ系の色になりますが、淡いところまで写っているので、コンポジット後に色を整えれば簡単にきれいに仕上がりそうです。網状星雲を撮影した作例ではフィラメントの中の青い星雲の色がUHCより良く写っていました。CLSは万能に使えるフィルターです。
右下のUHCの画像は、もうほとんど画像処理後の出来上がった完成に近い写りです。JPEG撮って出しの1枚画像でここまで写るのは驚異的です。少し露出はかかりますが赤い星雲用にたっぷり露出をかければ、コンポジットしただけでほぼ画像処理のいらないすごいフィルターだと思います。
最後になりましたが、2種類のフィルターを合成した135mmレンズによるお手軽天の川の星雲撮影の作例を紹介します。
オプトロンの大口径フィルターでは、クリアスカイフィルター、L-Proフィルター、UHCフィルターの3種類が発売されていて、その中で私は77mm径のクリアスカイとUHCを持っていますので、今回135mmレンズに82→77mmのステップダウンリングを介してレンズ前に装着して使ってみました。
クリアスカイフィルターは軽度光害カットで、上で紹介したムーン&スカイグローと同じ特性を持っています。クリアスカイだけではコントラストが低く星雲の色の彩度も低いですが、UHCで撮った画像と2枚を加算平均して少しバックの色調を整えただけで、右の画像のようにいい感じになりました。
私は普段の撮影でも対象に合わせて複数のフィルターを使って撮影を行い、それらを適度に組合わせてコンポジットして仕上げるようにしています。
以上、オプトロンフィルター情報の続編を紹介させていただきました。(松本 博久)
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