ナローバンドで撮ってみた!
はくちょう座のNGC7000 北アメリカ星雲をナローバンドで撮影しました。3種の輝線のみを透過するバンドパスフィルタ(ナローバンドフィルタ)を使ったモノクロ撮影です。
北アメリカ星雲などの輝線星雲は、元素の発する輝線(スペクトル)によって発光しています。主に水素(H)、酸素(O)、硫黄(S)です。天体写真のナローバンド撮影では、この3種の波長だけを透過するフィルタが多く使われています。
普通のカラー写真撮影のようなデジカメは使いません。使うのはモノクロカメラです。モノクロカメラのセンサは色情報を得ることはできず光子量(明るさ)だけの情報しか得られません。センサの前に特定の波長だけを通す光学フィルタを取り付けて撮影します。
人間の目の色彩感覚とは全く違うため、それぞれの輝線をRGBに割り当てて色を作り上げています。言うなれば色の偽装です。この写真は水素(H)を緑のGに、酸素(O)を青のBに、硫黄(S)を赤のRに割り当てています。細部を強調するために色相も少し変えています。
赤外線を透過する改造をしたデジカメで、この北アメリカ星雲を撮影すると、ほぼ赤一色になります。しかし特定の波長の光だけを取り出すと違った姿が浮かび上がります。
3年ほど前に「よなご星の会」のHPに詳しく解説したものを掲載しています。興味がある方はご覧ください。
https://hoshiboshi-yonago.amebaownd.com/posts/2989309?categoryIds=721308
今回の話題は松本博久さんのフィルタ比較実験と似通った部分があります。参考にしてください。(古都浩朗)
撮影日:2020.6.26 22:50:43〜
撮影地:大山町総合文化スポーツセンター
赤道儀:Vixen SXP2
鏡筒 :Takahashi ε-130D F3.3 f430mm
カメラ:ZWO ASI1600MM-Cool Gain 139, -10℃冷却
フィルタ:Hα,SII,OII
露出 :75分(Hα:300秒 × 5枚, SⅡ:300秒 × 5枚,OⅢ:300秒 × 5枚,)、
ダーク・フラット補正、画像調整
オートガイド:ZWO ASI120MM mini f100mm、ディザリングあり
撮影ソフト:ZWO ASIAIR Pro
画像処理ソフト:ステライメージ8、Luminar4
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