ASCOM Canon Lens Controller Mark II - 電子工作編-
前回はASCOM Canon Lens Controller Mark IIの紹介をしました。
今回は工作編となります。
私はASIair Proという天体写真撮影に特化した機器を使っています。
赤道儀の制御、自動導入、オートガイド、撮影のスケジュールなど、これ一つですべて完結します。
操作はタブレット端末(iPad/iPhoneかAndroid)で行います。
PCを持って撮影に行くことは、ほぼなくなりました。
ASCOM Canon Lens Controllerを使うために、わざわざPCを持って行く気にはなれません。
そこで小さなマイコンを使って制御することを思いつきました。
このマイコンは過去にBluetoothインターバルリモコンに使ったものの同類です。
隣のMicroSDカードと比べて大きさを実感してください。
まずは完成したコントローラの操作をみてください。
ASCOM Lens ControllerとマイコンをUSBケーブルで接続してから電源をいれます。
起動時は前回のレンズが選択されます。
UP/DOWNスイッチで使用するレンズを選択したら、SELスイッチで決定です。
絞りを絞り側(F値を大きく:暗)にするにはUPスイッチ、開放側(F値を小さく:明)にするにはDOWNスイッチを使います。
フォーカスを動かすにはSELスイッチを押します。
UPスイッチで無限大方向に、DOWNスイッチで近距離方向に動きます。
フォーカスは電源を入れた直後は必ず5000の位置になります。レンズのフォーカスポジションがどこにあっても5000です。
その位置を5000として相対的に動く仕様になっています。
UP/DOWNスイッチを押す毎に1ポジションずつ動きます。UP/DOWNを押したままSELスイッチを押すと10ポジション動きます。
フォーカスから絞りの制御に戻すには、SELスイッチを押します。
SELスイッチを押す度に絞りとフォーカス制御が切り替わります。
レンズの情報はMicroSDカード内のlens.txtファイルに記述します。
lens1=Sigma 15mm F2.4 EX DG FISHEYE | 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5 5.0 5.6
lens2=Sigma 20mm F1.4 DG HSM Art | 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5
lens3=Sigma 50mm F1.4 DG HSM Art | 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5
lens4=Sigma 85mm F1.4 DG HSM Art | 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5
lens5=Sigma 135mm F1.8 DG HSM Art | 1.8 2.0 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5
#lens6=Canon EF 50mm f/1.8 | 1.8 2.0 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4.0 4.5
レンズの名称と縦線"|"で区切って、絞りの数値を列挙します。
絞りはレンズによってステップが決まっています。デ
ジタルカメラに装着して開放から1ステップ毎に絞っていった数値を順にスペースで区切って記入します。
途中を飛ばすことはできませんが絞りの大きい方を捨てるのはできます。
天体写真ではそれほど絞ることはないので自分が使うところまでのF値を書いておけば良いです。
lensX=の先頭に#を書くとコメントアウトできます。レンズの選択に出てこなくなります。
※Sigma 85mm F1.4のレンズは上手く動作しませんでした。
コントローラ製作にあたり、使用したパーツはM5Stack BasicとUSB HOSTモジュールです。
製作中に困ったことが起こりました。USBモジュールのVBUSに入っている逆流防止用のショットキ・バリアダイオードが電圧降下を起こしLens Controllerが動作しないことがあります。
取りあえず逆流防止はやめて、ダイオードの換わりにフェライトビーズを入れました。
1箇所ジャンパがありますがINT信号をライブラリに合わせるための変更です。
※このブログを見て「天文楽者のRYOさん が、このレンズコントローラを完成させてくれました。RYOさんはこの改造せずとも動作したとのことです。
私の個体が悪かったのか、これは朗報でした。
こうしてPCを使わないコントローラが完成しました。
課題もあります。M5Stackは小さなバッテリを内蔵しているのですが、Canon Lens Controllerの消費電流を賄いきれません。今はM5Stackに5V出力のポータブルバッテリを繫いでいます。ここはなんとかすっきりさせたいところです。
フォーカスもあまり役に立たないかなと思いましたが、レンズに触らないで最後の追い込みができるのはとっても良いです。
今回はプログラムについて全く触れていません。
もし興味があって自分でも作ってみたいと思う方があれば個別にご連絡ください。
プログラムは無償で公開いたします。
問い合わせ先:
sj-astroアットマークcity.tottori.lg.jp ※アットマークは@に変えてください
件名は「鳥天問い合わせ」としてください。
管理者から私に連絡が届きます。
ベルガモット(BergamotJellyBeans)
・謝辞
この記事および製作にあたり、星見屋店長 南口さんには、資料提供や問い合わせにご対応いただきました。
ありがとうございました。
・天文楽者のRYOさん
鳥取天文協会に連絡を頂き、早速パーツ購入。わずか2日で動作確認まで。
Twitterで電子工作の過程をつぶやいて頂きました。
ブログではM5Stackの組み立て方から実際に使っているところの動画を紹介されています。
動画の説明音声は、最新のAI音声合成技術「VOICEPEAK」です。
またプログラムの書き込み方法を丁寧に説明されています。
私の開発したソフトウェアはGitHubにて公開しています。
・本文関連のリンク
AstroMechanics社の販売ページ(エレクトリックシープ)
AstroMechanics社の販売ページ(星見屋)
M5Stack(スイッチサイエンス)
ZWO ASAair(星見屋)
ASCOM Canon Lens Controller Mark II - 紹介編-
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