新・やさしい流星観測(2)
☆楽しく続けるには大流星群が最適です!それも夏が一番。
今から準備するなら8月のペルセウス座γ流星群です。天候も夏型で安定していて21時頃から月が上がってくる夜中1時過ぎまで観測できます。
本番前のリハーサルなら7月26日辺りが妥当なところです。いろいろな流星群が活動していて楽しい観測になるでしょう。このときすでにペルセウス座流星群も活動しているので、「はずれ」はないと思います。そこで、楽しくとった記録をただのメモで終わらせるのではなく、二度とないかも知れない天文現象を価値ある科学的共有財産として後々に残したいものです。
☆ちょっとの味付けで世界に通用する一流品になります!
流星観測は今でもプロの学者に伍してアマチュアが活躍できる数少ない分野です。そのためには少し後処理を必要とします。今回はこの方法を観測記録のレベルアップ工程としての段階を公開します(図1)。
さらに今回は流星写真を芸術的写真と一線を画した科学的写真に加工する重点も紹介します(図2)。尚、詳細な手順の例題は紙面の都合で次に譲ります。
眼視観測。時間帯ごとの流星数のまとめがすべてに優先します。これに明るさや速さの統計が加わると最強です。
写真観測。流星の出現時刻(秒単位)と撮影場所(東経・北緯が秒単位、標高)が必須です。静止画、動画ともに使われる分野が異なりますが、専門家が興味を持つのは他地方との同時撮影が成立した場合の軌道計算です。軌道計算して何の価値があるのですか? それは先祖の戸籍調査と同じです。先祖どころか遠縁まで明らかになる恐るべきDNA調査です。もし提供されますと専門家が詳しく調べるので上述の項目の添付をお忘れなく。
☆結局流星観測って何なのでしょうか?
数mm以下の粒がどのように分布してどんな空間密度で地球やって来るのか。それらは当たり前の現象なのか、それとも異常なことなのかを判断します。いろいろなデータを分析すると地球周辺の粒の様子が想像できます。その一例として私が得た結論の一部を図3に示します。
では、それがわかったとして何か生活に役に立つのか? 仮にその粒が気象や環境に与える影響があるとして、アマチュア天文家はどうすればいいのか? 結局のところ趣味の限界と実益への貢献の問題にぶち当ります。私も若いとき悩みましたが、今はひとつの結論に到達しました。趣味は人間性を豊かにするもの。楽しむもの。それでいい。もし何か役立つものがあれば負担のかからない範囲で提供すればいい。だから皆さんには余力があればご協力をいただくもので、義務や強制ではありません。そういうスタンスで勧めています。必ずしも高価な設備投資が最高の幸福をもたらすとは限りません。(河越 彰彦)
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