新・やさしい流星観測(3)
☆基本的な数値があれば加工はだれがやっても同じ
専門家が欲しがる数値は、基本的数値があれば単純計算でわかるので難しいと心配する必要はありません。例えば眼視観測で表1のような計数データが得られた場合。修正流星数などは今の時代事務的計算です。
最微星(恒星)が6.5等の条件下で見られる場合の修正流星数CHR(Correct Hourly Rate)は、
NR×2.5の(6.5-m)乗・・・・・・・・① mは観測時の最微星光度
放射点が天頂にあると仮定した条件下で見られる場合の修正流星数ZHR(Zenicial Hourly Rate)は、
CHR÷(sin (h+7cos h))・・・・・・・・② hは放射点の仰角
で計算できますが、これらの式は研究者によって微妙に違いがあります。例えば①式では2.2を主張する説もあり、また②では別の式を使う学者もいます。だから表1のような基本数値が明記されていれば無理に計算しなくても差し支えありません。またCHR等を計算したときは計算式を明記しましょう。
表1 流星群計数観測集計の基本数値。赤字で示した。
☆写真画像の整理
人力で実施すると膨大な時間と労力を必要とします。前回までに述べたように秒単位の出現時刻、観測地の東経、北緯、標高が記録されていれば、後は計算ソフトウェアが流星の発光点、消滅点などの赤経、赤緯を瞬時に計算します。実はこれには画像の中で複数の恒星の位置と光度情報が必要で、この選定と比較検討を人力でやると大変な負担がかかります。その上、計算間違いや誤差が大きいと折角のデータも捨てることになります。
昔と違い今の時代はこういう繰り返しの単純計算をしてくれるソフトウェアがあるので、持っている同好会か研究グループに送って処理してもらう方が、結局みんなの為になります。
どの場合でも観測の生データは早いうちに上述したような基本的数値をつけて専門の団体に送りましょう。
国内では日本流星研究会がアマチュア団体ですが報告先として適しています。所在地などはホームページを参照下さい。勿論筆者に相談くださってもよろしいです。
以上三回にわたり基本的なことを述べました。結論を言えば、なんら難しいことなどなく、楽しみながら流星観測して、科学的な探求に役立ててみようと思ったら、ちょっとした味付けをして専門家に提供してみましょう。当然ご自分自身で深く考察されるならそれも大歓迎です。以上。(河越 彰彦)
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