アマチュア流星観測最前線⑧「 最終編 」
昨年秋から少しずつ最前線をご紹介して来たが、その最前線は今後十分に機能するのであろうか? 最終回にあたり、このへんの事情を探ってみたい。
表面的には安泰のようだ。しかし問題は当事者の年齢である。六十歳代を中心に上は七十代、若くても五十歳に近い人たちが活躍している。もっと近寄ると定年退職した超ベテラン高齢者が実質的な中心。これから十年経ったとき、この先輩たちは不本意ながらも行動に制約がかかるだろう。それは誰にでも訪れる引退である。ある友人に後の見通しを尋ねたところ、複雑な面持ちで言うには「子供も孫も興味がないので自分でおしまいかな?」。
では誰か後継者を育てているかと質すと「特にやっていないし、そんな暇もない」とのこと。そういえば私たちが天文に興味をもったのは小、中学校時代だった。その頃、高齢者の先輩などいなかった。今と丁度反対の環境。なんのことはない先述の友人の言葉どおり、後継者対策は何もしていない結果が現実になっただけである。時代の変化だ、価値観の多様性だと言うのは容易い。でもそれでよいのか? よい筈ないことは自明である。種まきなくして桔実はない。せっかく蒔いた種も放置していては育たない。育成サイクルを修復して、次世代へと繋げる。このような活動は個人の努力のみではなく、皆で計画して実行するべきだと思う。
凄い望遠鏡や高性能のカメラを見せるのも一つの手段だが、就学中の子供に興味をもたせ長続きさせる方法は皆さんの当時を回想すれば見えてきそう。あの爆発的な好奇心と、知る喜びと達成感、友と楽しむ共有感。高価な道具はその次でも遅くはない。今は育てる知恵と若干の資金を出し合うべきと思う。アマチュア天文仲間が限界集落にならないようにしたい。以上。( 河越 彰彦 )
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