2021年12月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック
河越彰彦
2022年で流星群チェックは三年目
2020年1月に流星群活動の再評価を開始して今年で三年目に入った。この前年に流星群の活動にいろいろな疑義を持ったのがそもそもの動機である。加えてIAU表示の流星群名を目にした瞬間に「こんなのほんとうにでるのか?」と率直に感じ、そのまま確認観測を計画して開始した。IAUという権威に押し流されないように観測前に詳細情報を取得しないようにして、結果の照合と評価は当該月の観測がすべて終わったときに行った。一部速報したときは過去の実績を慎重に考慮した。まだ断定はしないものの次の見通しを持つに至った。
①おおむね眼視観測で確認できるのはIAUリストの30パーセント未満である。
②観測量を現在よりふやしてもこの割合は大きくは増そうもない。普通人間の限界。
③写真、TVカメラ援用観測といっても、額面どおり受け取れないものや、さらなる検証や改廃を含めた検討が必要なものがいくつもある。
12月の主な流星群の活動概要
12月は表1のような観測量を実施して、表2の結果を得た。対象となった72群(注1)のうち少なからず活動が認められたのは27個で、第二級に至っては3割以下である。各夜の活動状況は別表に示す。確実レベルは以下のとおり。
第一級(Established showersに相当)
№16(HYD)うみへびσ群、№334(DAD)12月りゅう座α群、№4(GEM)ふたご群。このうち№334(DAD)は月末まで活動していて、高速流星が目立つので数は少なくても存在は確実である。因みに昨年も出でおり定常群の仲間といっても過言ではない。
№18(MON)12月いっかくじゅう群も定常群とみたいが、今回は弱い活動と評価した。尚、同群は活動末期に№1098(EMI)こいぬ座η流星群と区別がしにくい。
№20(COM)かみのけ群については1月分の結果を見てから判断する。
第一級候補(Established showersとWorking showersの中間に相当)
確実なものはなし。先月から続くオリオン座に活動する流星群は散在レベルで確実に捕らえることができなかった。
№257(FLE) オリオン座χ南群や番号なしのオリオン座χはみかけの速さやプロフィールが違うので区別は容易につくが出現数が少なく確定できなかった。№257はおうし座南群に酷似しているし、他方のオリオン座χ群はふたご群に似ている。またNOOと呼ばれる流星群は全く別物である。混同しない観察力が必要だ。
その他の流星群(第二級)の活動状況
(第二級)The second working showers
別表のなかでも№565(FUM)おおくま座59、№565(DCF)かみのけ座5流星群は確実と思われる。前者は昨年も出ている。また、やまねこ座にある流星群も弱いながら活動していて、今回の評価は控えめだが№252や494などは今後も注目したい。
今後の方針
表3は2021年の観測量、表4は直近二年の観測量である。観測量はある程度まとまった量でないと活動を見逃す恐れがあるので、一夜当り三時間は必要と考え実施した。年齢的な制約もありこれ以上観測量を増やすことは難しい。仮に増やしても集中力が低下したら意味がない。そんな事情で前述したように観測量を増やしても確認流星群の数は比例しない。この辺りが現実的な限界と判断した。なるべく早い段階で結果をまとめて眼視観測版の流星群表を作りたい。
(注1)赤緯40度より南(原則)にあるもの、朝夕の薄明時のもの、満月時期のもの等を除外した流星群を対象にした
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