2021年11月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック
河越彰彦
しし、アンドロメダ座流星群は活動確実
2001年に流星雨をもたらしたしし座流星群は、母彗星が遠日点近くにあっても確実な活動が認められた。極大日はほぼ満月の悪条件であったので多数の流星は見られなかったものの、5日朝に初期活動を、27日朝に活動終末を確認できた。
今年着目されたのは、ビーラ彗星起源のアンドロメダ流星群である。19世紀には彗星崩壊に伴う流星雨がヨーロッパ等で観測された歴史がある。その後活動が途絶えたように考えられていたが近年観測されるようになり、今年も注意が喚起されていた。眼視観測では少数の補足にとどまったが終夜稼動の自動カメラには幾つも撮影されたようだ。ほぼ一ヶ月にわたり観測できたことじたい異例である。別表に各夜の補足数を示した。但し、一時間当たりに換算すると0.1程度だから、短時間見ていたくらいでは観測は困難だ。
その他の流星群の活動状況
例によって赤緯55度より南にあるもの、朝夕の薄明時のもの、満月時期のもの等を除外した83個の流星群を対象にして、表2の結果を得た。
著名なおうし座流星群は、弱いながらも毎夜見られている。北群のほうがやや優勢にみえる。筆者は毎年確実な活動をする流星群を第一級として区分している。第一級に準じたものを第一級候補として活動をチェックしている。その第一級候補のなかでも、№390 11月ぎょしゃ座θ流星群と№なし、オリオン座χ流星群が目立った。特に後者は12月に活動する複合群としてIAUが認定している。同名別群の可能性も考えられるので、12月前半に注意してチェックしたい。
第2級流星群の注目対象は昇格する?
今月の注目株は№244ぎょしゃ座ψ流星群(上述のぎょしゃ座θ群とは別物)と№527おおくま座υ流星群(№488 11月おおくま座σ流星群と分離不能)だろう。
こうしてみると、ぎょしゃ座には中旬にψ群、下旬にθ群が活動していることになって賑やかである。一方のおおくま群は特徴的な速痕流星が目立つのですぐ識別できる。放射点位置が近い二つのおおくま群を眼視観測で分離することは難しい。活動期間も大変近いのでますます分離はできないであろう。これらは第一級候補に昇格するかもしれない。
集大成の必要性
昨年12月分から開始したこの活動チェックも一年が経過した。結果の集大成が必要であるものの、観測に関して運不運もあってまとめには慎重さも求められる。
表1は11月分の観測量で本年のどの他の月よりも観測量が多い。観測量と活動確認率は比例しているようなので、ちいさな流星群を今月は確実に捉えられたと思う。今年初めから11月末までの観測量を表3に示す。ひとり当りでは21000分超(350時間以上)の観測をしても、月明や悪天候などですべての流星群を確かめることはできなかった。最小でももう一年確認観測をしないと確実なことは言えないであろう。この確認作業は続けるが、月例報告は来月分をもってひと区切りとしたい。
以下の流星群名称は和名命名ルールに基づいた名称で統一した。
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