2021年8月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック

河越彰彦

期待はずれの夏は去った
 肝心のペルセウス座流星群の極大期はあいにくの悪天候で散々たるものであった。上旬にみずがめ座δ流星群の活動を認めたのと、下旬に新しい流星群を検出(後述)したのが僅かばかりの収穫といえよう。別表IAU No.12(κはくちょう群)、No.184(7月γりゅう群)やNo.197(8月りゅう群)などはカメラ観測では活発だったようだが、眼視では弱い活動であった。

 筆者は予定していた計画の半分しか観測できず、確認した流星群も少なかった(表1と2参照)。今年はまだ三分の一残っているので9月以降に期待したい。

第二級の流星群は数は多いが実態は寂しい
 8月は観測量が多いのでIAUに登録される流星群も多い。実際に観測対象になるのものでも別表のように82個もある。このうち70個が第二級である。ええっ!こんなに出ているのかと、さぞかし賑やかだと喜びたいところだが実態は寂しい。弱い活動があったらしいのが僅か10個だ!ほとんど散在流星に埋没している現実がある。先月にも述べたように一晩全天を監視する体制を連日とってもすべて確認できない。理由は①毎年活動しない。②暗い流星が多い、③存在しない(散在流星の誤認)、がある。普通の都市部かその近郊に住む観測者にとっては、第二級の流星群は10パーセント捕らえられれば良いほうだと思う。実際、表2で見る限り14パーセント(10/70)である。こんな効率の悪い趣味って意義あるのだろうか?


流星観測の意義はどこにある?
 これは近年感じている筆者の疑問そのものである。結論から言えばアマチュアの流星観測の意義はすでに薄い。その証拠は①流星観測者人口の激減、②観測報告数の激減、③若い観測者がほとんどいない(平均年齢が60歳前後)し、新入もほとんど現れない。

 たまに全国的な会合に参加すると、研究発表の内容がアマチュアの域を越していることに驚く。ハイレベルで高価な設備投資が必要なので学校生徒など若者が参加しにくい。今までも何度も指摘されたことだが何も変わっていない。知らぬ間に進んでいる方向がアマチュアからどんどん離れているようだ。

 筆者の毎月の流星群チェックは、実際に都市近郊に住むアマチュアが眼視観測で見えるレベルを調べるのが目的である。権威あるIAU(国際天文連合)リストは一般的なアマチュアには不向きなことを最終的に明らかにして、アマチュア流星観測者のためのリストを作りたい。私たちの手が届くレベルを知って(共有)、楽しく観測・観望したいものだ。そして時々予期せぬお客さん(突発流星群や大火球)にこころ躍らせる感動をすれば意義を感じると思う。


8月の突発?新検出流星群
 その数値的な概要は表3に示す。いずれも権威あるIAUリストには載っていない。実は、これも流星観測意欲を失わせた主要因である。眼視で見たと報告すると全国で稼動しているカメラ観測網では捕らえていないと反駁される。そうすると意気消沈して熱意が確実に低下する。人の噂では関東地方では2等級より明るい流星はほとんど撮影されているので、眼視観測しても意味がないらしい。筆者はそんな評判は気にしないが、やる気を無くする人は多いと想像できる。科学技術が発展した反面、流星観測者が減った。増えたのは解説評論家だ。

 話題を元に戻す。観測すればいつも新流星群が見られる保証はない。何百時間やれば見つかるのか定かではないが、長い経験をしていると観測中に気配を感じることはある。表3の群もそんな気配を感じた。同じ性質の(特にみかけの速さ)流星が同じ方向や、特定の星座から飛んでくると、何かあるのかな?と感じる。このハンティングに似た感覚がたまらない。

 その流星数は3個以下は確実ではない。4個でまず確実。カメラ網が補捉しているか否かに一喜一憂しない。そのくらいの意識は持たないと張り合いも気力も無くなってしまう。人間は機械ではないし機械が流星観測してもアマチュアの私には何の意味をもたない。

流星観測では赤経は24時間制ではなく360度制を使う。その方が軌道計算に便利。


 以下の流星群名称は次号から和名命名ルールに基づいた名称で統一することにした。

鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

鳥取天文協会は鳥取近隣の天文愛好家で作るグループです 以下に引っ越しました https://toritenkyo.blogspot.com/

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