2021年3月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック

河越彰彦

リストが改善された

 IAU(国際天文学連合)のリストが3月から改定された。今までは存在すら疑わしい流星群が何百個もあったが、今回はかなり整理された。前進したと評価したい。このリストは編集者が述べているように、写真、動画撮影、電波観測の結果をもとにしている。眼視観測は反映されていない。私はそれには敢えて反論しないが、人間が確認して初めて流星群が確定するものだと考えているので毎月のように眼視観測で活動をチェックしている。

 今回(3月分)からはIAUが確実と判定したEstablished showerもあわせて確認評価してみた。いつものように国内からは見えない南天に位置するものや、昼間に活動する流星群をのぞいた17個群を対象にして、河越13夜2800分、斉藤11夜2430分、延24夜5230分、散在流星92個のデータを分析した。その結果、確実4個群、弱い活動1個群を確認した(別表参照)。残りの12個群は全く活動しなかったか、活動しても散在流星に埋もれて確認できなかった。


中・下旬のおとめ座とへび座流星群を確認

 別表のIAU №123の北3月おとめ群(直訳)とIAU №11のηおとめ群はみかけ上は同じ流星群である。これを厳密に個々に分ける意味はないと思われる。

 もともとおとめ座流星群は小規模な流星群の集団なので、そのひとつひとつが時々活発になると今回のように同じような時期、位置に観測される。筆者の長年の観測では№123も№11も発表されている数値は実際とはいくらか異なっている。その理由は断片的な写真観測などが原因である。毎夜毎夜同時流星を捉え軌道計算する仕事はいくら機械化されていても簡単ではない。近い将来にこの仕事が効率的に実施されれば、今回の改訂のようにリストがより正確なものになると思われる。別表の破線のセルはこのIAU記載と違うところである。

 筆者は4月末までおとめ群を追跡してその全容をまとめるつもりだが、小さく区分せず全おとめ群として包括的に把握したい。

 一方、ふたつのへび座流星群(ζ群とκ群)は別群である。ζ群はへび座尾部、κ群は頭部に位置している。筆者のように経験の永い観測者は一時間観測しても群流星を見ないことを知っているので、一晩に最低でも2時間できれば3時間の観測を心がけている。それだけ時間をかけても捕捉できるのは2~3個である。では、こういう数の少ないものを流星群と呼んでいいのか議論はあるが、現実には類似軌道をもつ流星が2個みつかると流星群だと主張する学者がいると即席流星群が作られてしまう。その点、眼視観測では2~3個の流星を流星群と呼ばない。従って眼視観測で確認する意義がここにある。

 別表の総合判定は以上が確実。3以下は弱い活動である。0は未確認を表す。以上。

鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

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