2021年2月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック

河越彰彦

 昨年の観測中に外国の観測結果が気になったのが動機となり、IAU(国際天文学連合)の発表している流星群の活動チェックを開始して三ヶ月になる。先月号でも指摘したように実態を的確に反映しているリストとは言いがたい。

 例によって国内からは見えない南天に位置するものや、昼間に活動する流星群をのぞいた33個群を対象にして、河越10夜2740分、斉藤10夜2790分、延20夜5530分、散在流星120個のデータを分析した。その結果、確実1個群、弱い活動6個群を確認した。


上・中旬のかみのけ座流星群をキャッチ

 先月号でも同じ名前のかみのけ群を捉えたと報告したが、これには以下に述べる理由がある。まず1月や12月のかみのけ座付近の流星群とは同名別物である。また別表にあるように総合判定2の流星群の位置は大きく、かみのけ座・りょうけん座付近としし座に分布している。前者は黄道から約30度離れていて後者は黄道付近で、どちらも散在流星が多い空域である。その分布は実にアナログ的な粗密の連続で境界線がはっきりしない。そういう位置に流星が出るとみかけ上の流星群として観測される(眼視でも写真でも)。この空域の流星群すべてが見かけ上の流星群とは断定しないもののIAUがリスト化しているほど存在していないと考えている。もし確実なら毎年定常活動するはずだから。


かに座群、別働おとめ群は弱いながら存在する?

 他地方の観測者もみている、かに座流星群は散在流星との区別が難しいが毎年の定常組なので流星群活動はあると思われる。もうひとつの注目対象が別表のIAU№516 FMV(February mu virgo) 2月μVirである。火球・隕石で知られる春のおとめ座流星群とは縁もゆかりもない別の流星群である。地球に正面から突っ込んでくるので相対速度が速いのが特徴である。以前から夜半後によく観測されているお馴染みさんだ。


散在流星の集団(クラスター)

 大きな流星群に属する流星は運動方向や速度(地球に対する方向が決まれば対地速度も決まる)はほぼ揃っている。これは軌道が同じことを意味する。そのため区別が容易である。流星群はShowerとかStreamと称し流れを意図させる術語である。一方、方向も速度も不揃いのばらばら状態になると、これを散在流星(Sporadic meteors)という。先に述べたようにアナログ的な粗密の連続な分布をしていると、その境界は曖昧になりところどころにそっくりではないが、一見似たもの同士が存在するようになる(模式図参照)。

 この似たもの同士の集まりを流星集団(Claster)とか擬似群とか呼んで筆者はだいぶ以前から区別している。流星集団にはおおまかに分けると大きな粒からなるクラスターと小さな粒からなるクラスターがある。観測者がこのクラスターを偶然見つけると小流星群が誕生してしまうが、突発的なものだから定常的に観測できない。こういうものを多数リスト化しているのがIAUリストではないかと懸念している。以上

鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

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