四人の流星界の恩師 ~恩師にみる新人発掘のカギ~

プロフィール

 流星観測を始めて半世紀余り経つが、無事に続けてこられたのはまさに四人の得がたい先生がたのお陰だと思う。お名前をご縁のあった順にご紹介すると、

 ・小槙 孝二郎 先生(日本流星研究会会長)

 ・藪 保男 先生(日本流星研究会観測研究部長)

 ・長沢 工 先生(東京大学地震研究所・東京大学助手)

 ・前川 光 先生(横浜天文研究会会長)

 みなさん文字通りの学校・大学の先生であった。残念ながら皆様故人になられ、今はご指導をいただこうにもその願いは叶わない。下表に簡単なプロフィールを記す。

早い返信

 流星観測を始めたころは、現在とちがい書籍も少なく近くに相談できる人はいなかった。そんなときに天文雑誌で拝見した先生につたない(いかにも子供っぽい)手紙をさしあげた。すぐに返信が来て感激したのを昨日のように覚えている。読者のみなさん、返信が当たり前だと思われますか?いいえ、お返事などくださらない先生がたもあるなか、この四人の先生のレスポンスは早かった。前川先生などは、お電話を頂戴して、こちらがしどろもどろの対応になったことがあった。そのくらい四人の先生は私にとって格別の存在であった。ついでながら付け加えるとみな超多忙で、その当時でも多くの人たちの先を全力疾走されていた。


人柄のタイプ

 超多忙な先生がたは、近くで拝見するとそれぞれ性格がはっきりしていて、同じ流星分野でも個性は同じではない。下図は私を基準として、性格的に細かいかラフであるかを横軸にとり、実践観測派か理論派かを縦軸に照らしたものである。参考のため述べると、それぞれの距離が近いほど親しい関係がある。

 この図の左下の領域にはどなたも位置しない。繊細な性格で理論派の人物は流星界に多々見受けられるが、なぜかご縁もなく、ベテラン観測者でも切れる理論派の恩師となるひとはいない。まさか自分自身が繊細な理論派だとは思ってもいないし指摘されたこともない。となると率直に言うと相性である。必ずしも同じ考えでもないし見解の相違もあった。そう、見解の相違を認めて下さったり、異論を聞いて下さる包容力があったからこそ恩師として尊敬の念を抱いたのだろう。高名な最高学府の先生が恩師になるとは限らない。

新人獲得のヒント

 若いころの自分が新人として獲得されてしまった事実を裏返せば、いま若い人たちを仲間に引き込むヒントが見えてきそうに思われる。早い返信、先進性、包容力(多様性を認める度量)。逆に避けたいのは遅い対応、マンネリの人まね、身内びいきの排他主義である。以上(河越 彰彦)

 追伸 鳥取の誇る彗星分野の大先輩に中学生のころ書状を差し上げたが、
    返信拝受には至らなかった。

鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

鳥取天文協会は鳥取近隣の天文愛好家で作るグループです 以下に引っ越しました https://toritenkyo.blogspot.com/

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